「やりがいのある仕事」という幻想:森博嗣
【新書版】
なぜ手に取ったかわからない。なぜ買ったのかわからない。
理由は思い出せないけれども、なぜか手に取り、購入した一冊。
きっとその時の私はこの本を欲していたのかもしれませんが謎です。
タイトルにもあるように、『「やりがいのある仕事」という幻想』という事で、読み始める前は「きっと対象は就職活動を迎える学生がメインの層になるのではないか」と思っていました。ですが、読み終えた後には、これから就職活動を迎える学生はもちろん、現在仕事に迷っている様な社会人でも(対象として)読める一冊なのではないかと思いました。加えて、就職活動を終えて、1年後には新社会人としての進路が決まった様な学生でも「仕事の貴賤」や「仕事と人生」などといったテーマに興味のある方は楽しめるのではないでしょうか。
ただ、内容としてはちょっと薄いかもしれません。別にデータを用いて書かれているわけではなく、仕事や職業選択といった項目に対して、著者の意見がちょこっと述べられているだけです。
個人的に、本書の後半はほぼ参考にならなかったと言っても良いかもしれません。なぜなら、Yahoo!知恵袋でよく見る様な「〜するにはどうしたらいいですか?」といった具体性の無いの質問に著者の意見が根拠も無くただ単に書かれている、安っぽいQ&A集だったからです。あまりにも質問がざっくりしていたため、もし私が質問者の状況におかれていたら...などといった想像ができず、しかも、その質問に対して著者がなんとも軽く返答を書いていたため、「なんとも無責任な意見だなあ。」と思いながら読んでいました。確かにいくつかの項目は、視点が鋭いと言いますか、確かに!と思わされる内容だったのは認めますが。
一番印象に残っているのは、女性の社会進出や男女平等について書かれた以下の部分です。
男女いずれであっても、自由に就職できる機会がある事が大事だと思う。けれども、女性が男性と対等になるためには就職をして社会に出なければならない、という主張は、ちょっとずれていると感じる。たとえば、主婦というのは、社会へ出ていないのだろうか、という疑問もある。結局これは、「男は仕事をしているから偉い」という認識をベースにしているから、そう考えてしまうわけだ。
これには、はっと気づかされたような感覚を覚えました。私の周りの女性は男性よりも強い、といいますか、行動力があり、男性と同じ様なキャリアを積んでいくような方が多いので、「女性の社会進出とは男性と同じように会社勤めをすること」であるかのように思い込んでいました。
そんな私にとってこの部分は、はっとさせられるような主張であったことは間違いありません。そしてきっと私がこの部分に共感したように、もしこの記事がきっかけで本書を手に取った人が読んだとしたら、また別の部分で、著者の鋭い切り口の意見に共感を覚える箇所を見つける事ができるのではないかと思います。
題材としては「仕事のやりがい」といった、よく話題に上るようなことであり、題材としては陳腐化している本かとは思います。ですが、そこに書かれている意見は、値段相応の読む価値があるのではないかと思いました。
それでは、お腹がすいたので今回はこれで。
【Kindle版】
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ポストモラトリアム時代の若者たち(社会的排除を超えて)
「ポストモラトリアム」とは何か。個人的に「腐女子」の心理が理解できない。こんな二つの理由で購入を決めました。
世界思想社
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目次
序:失われたモラトリアムを求めて
第1部:モラトリアムからポストモラトリアムへ
第2章:ポストモラトリアムの時代ーリスク管理に忙殺される若者たち
第2部:若者たちのメンタリティ
第3章:スティグマ化とトラウマ化ーひきこもる若者たち
第4章:孤立化からの回復ーミーティングで変わる若者たち
第5章:方法としての「腐女子」ーオタク女子のメンタリティ
第3部:若者たちと社会
第6章:「物語なき物語」を生きるーモラトリアムの時間的変容
終章:ポストモラトリアムのゆくえ
まず、ポストモラトリアムとは何なのかについて。
子供から大人へと成長する時期、特に大学生活の4年間は「モラトリアム」と呼ばれ、労働力として社会へ出るまでの準備期間として、自己と社会を結びつける重要な期間とされている。また、高度経済成長を通じて、学歴により将来の職を振り分ける「パイプラインスステム」が生み出された結果、若者たちはこのモラトリアムの期間を自己のアイデンティティの確立に費やしてきた。しかしながら、高度経済成長の終焉によりパイプラインシステムが崩壊し、社会全体が若者に対する監視の目を強めることとなった。社会の変化に対し、若者側も早い時期から社会へ出る準備が求められるようになった。こうした背景の中で、徐々に「モラトリアム」が認められなくなり、「モラトリアム(執行猶予)なきモラトリアム(青年期)」を過ごすようになった。
この、新しい子供から大人への過渡期を本書では「ポストモラトリアム」と定義しています。
若者の価値観や行動が取り上げられ「最近の若者は〜」という声を聞くことが多いのは確かだが、この本を読む限りでは「ポストモラトリアム」を生きる若者たちに非の大半があるようには思えず、むしろ早い時期から社会へ出ることが求められるなどといった社会の変化に対応した結果なのであろうと感じられるようになりました。
それを表しているのが第2章にある、「排除型社会の登場」の部分です。
前時代の「モラトリアム」時代の若者を取り囲んでいた「包摂型社会」と呼ばれる社会は、若者たちの反抗に対しても、若者たちの成熟過程のなかで意味をもつと理解され、寛容さをもって接していた。つまり、若者の非行も正常な行動として認められていたのである。しかしながら、現在の「ポストモラトリアム」を生きる若者たちを取り囲む「排除型社会」と呼ばれる社会は、人間の可塑性や成長・変化への信頼が失われた社会であり、あらかじめ問題を起こすリスクをもつ若者は排除することが当然であるとする社会である。こうした排除型社会を生きる必要性が生まれた結果、若者たちは社会へと出るための効率性や有用性を追い求める集団と、排除され、ひきこもりやニートとして生きる集団とに二分されたのである。
次に「腐女子」について。
まず、漫画やアニメのキャラクターをパロディ化した「少年愛」を題材とした同人誌を好む女性たちを「腐女子」と呼ぶらしいです。知ってたけど。
そうした女性たちがなぜ「少年愛」を好むのかについても本書では触れられています。
そもそも「少年愛」とは、女性的な魅力も持ち合わせた男性同士での愛であり、女性性を否定した女性である「男装のヒロイン」と女らしい女性との愛とは異なる存在である。結果、彼女たちの愛は、異性間での愛と同じようにお互いに補完しあう融合的な関係でしかないという限界がある。しかしながら、「少年愛」という男性同士での関係は、それぞれが異質の存在であるという主体性をもっているが故に、腐女子たちにとっての「理想化された自己像」を重ねることができることができるため、彼女たちは「少年愛」を好み、腐女子化する。
さてさてさて、この腐女子の部分については、うーん...といったところでしょうか。
分かるようでわからない、といいますか、全く分からないといいますか。
なぜ腐女子たちは「理想化された自己像」を重ねたがるのでしょうか。そこについての説明が無かったような気がして、腐女子を完璧に理解することは出来ませんでした。読み取れなかった私のミスかもしれませんが。
それにしても、この腐女子の嗜好についてですが、男性側の目線でみてみると、
「女性愛」:男性的な魅力を持ち合わせた女性同士の愛
「女装のヒーロー」:男性性を否定した男性と男らしい男性の愛
ということになるのでしょうか...
あまり魅力的な気はしないのですが、世の男性方、どうでしょう?
こういった「腐女子的嗜好」は(一部/多数の)女性だけの特有な嗜好なのでしょうか。それとも本書では触れられている点とは別に、若者たち一般に言えるような要素があった結果、こういった嗜好が生まれるのでしょうか。少し気になります。
世界思想社
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全体を通して、現代の「ポストモラトリアム」を生きる若者たちがどのような特徴を持っているのか、それは「モラトリアム」時代の若者たちと比べた時はどうなのか。また、社会全体の変化とそれが若者たちに与えた影響はどうだったのか、など読むほどに納得する様な感覚を得ることが出来た一冊でした。
分量としては200ページ強ですので、一冊通して読まれるのも良いかと思いますが、私のオススメとしては1・2・6章ですので一度読んでみてください。
それではお腹すいたので、今回はこれで。
一目惚れの科学 ヒトとしての恋愛学入門
皆さんは異性からモテたくないですか。私はモテたいです。ということで購入を決めた一冊。
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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という風に述べており、要するに恋愛とは、
五感をフルに活用する「子孫を残すためのプロセス」であり、一目惚れも例外ではない
とのことです。
「一目惚れの科学」とのタイトルですが、一目惚れについて重点的に書かれているかというと疑問符が付くかもしれません。しかし、一目惚れも含む恋愛について、男女がお互いに異性のどの点を重視しているのか、ということが数々の実験を元に述べられています。
個人的に特に面白いと思ったのは2点。
1:モテる男性の要素としてよく挙げられるのが、高身長・高学歴・高収入の「三高」です。日本の成人男性の平均身長に届いていないという絶望の縁に立たされている私ですが、1つの希望をみつけることができました。それは、高校・大学・社会人の女性にアンケートをとったところ、男性が高身長である事を重要視する志向が社会人の女性では低くなり、代わりに高収入であることが重要視されるようになってくるという結果が得られたという点です。
手術でもしない限りどうしようもない身長という要素は変える事ができませんが、収入はこれからの頑張り次第でなんとでもなるということは、これからの生きる希望にしようと思います。目指せATM。
2:もし、あなたが男性であるなら、女性に「どんな男の人が好きなの?」と聞いてみてください。この本によると、その質問に「男らしい顔の男性が好きなの」と答えた場合、以下の様なことが考えられるそうです。
- 妊娠しやすい排卵期の女性である
- 恋人が既に居る
- 浮気相手として男性を見ている
- 自分のことを魅力的に思っている
ちなみに最後の「自分のことを魅力的に思っている」ですが、「一目惚れの科学」によると、自己評価の高い(自分のことを魅力的に思っている)女性ほど、視覚にこだわる傾向が強いらしく男らしい顔立ちの男性を選ぶそうです。
その他のどの可能性も、調査や研究の結果も併せて書かれているので、気になる人は読んでみてください。
この本を読んだ私は、明日からモテ男としての人生を歩みたいと思います(希望)
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録:石川拓治
今月から上映が始まり、話題になっている映画がある。
【kindle版】
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正直なところ、なぜこの映画が注目されているのかがわかりませんでした。読み終わるまでは。読んでいて自分が感動しているのがわかるし、心が洗われる様な感覚を覚えました。ぜひ映画も見に行きたいところ。
目次
まえがき
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」ディレクター柴田周平
奇跡のリンゴ
木の上に広がる青空
脳科学者 茂木健一郎
内容
リンゴの有名な産地である青森県岩木町(現在の弘前市)に一人の狂ったリンゴ農家が居る。木村秋則さんである。何に狂ったのかと言うと「リンゴの無農薬栽培」である。「無農薬」の野菜や果物は数多くある。ましてや世間はオーガニックブームの真っ只中で、無農薬でつくられる食材は多い。この奇跡のリンゴも、その中の1つである。1:「リンゴは農薬で作る」と言われるほど、リンゴ栽培には農薬の存在が必要である事と2:1970年代後半から無農薬栽培に取り組んできたという2点においては。
元々興味のある事に対しては徹底的に突き詰める性格だった木村さんが一冊の本と出会う。福岡正信さんの『自然農法』である。そうして木村さんは、「農薬を使わなければリンゴ栽培は出来ない」という“常識以前の認識”に対して疑問を持ち、試行錯誤を繰り返しながら、「奇跡」が起こるまでの地獄の8年間を過ごす事になる。
読後の感想
良くも悪くも、一人の男とその家族の苦労話と成功体験の紹介本である。本書の終盤になるまで、奇跡は起こらず、ずっと木村さんとその家族が置かれてきた苦労が延々と続く。「もし私が木村さんだったら...」などと、感情移入してしまうと、辛すぎて辛すぎて読み進めるのを辞めようかと思ってしまうかもしれない。なので読む際には、是非とも表紙の木村さんの笑顔を思い浮かべながら読んで戴きたい。笑
この笑顔にたどり着くまでの苦悩は嫌という程書き連ねられているので。
『奇跡のリンゴ』で述べられている「無農薬栽培のリンゴ」については、賛否両論あるようで実際の農家の方々からの声も以下のように、
無肥料無農薬栽な「奇跡のリンゴ」は農業経営できる再現性ある技術ではなく芸術である:Togetter
という風にまとめられています。
実際に、無農薬でのリンゴ栽培ができるかどうかについては、科学的な検証であったり、経済的な検証をする必要があるかとは思いますが、木村秋則さんは様々な障害を乗り越えて無農薬でのリンゴ栽培を実現されているという事実がある様なので、そこに触れて楽しめば良いんではないですかね?感動する機会は得る事が出来ると思います。
8年間の苦境を乗り越えた先に、リンゴ畑でリンゴの花が咲く場面があるのですが、その時はゾクゾクする様な感動を得る事が出来ました。
もし、これから映画を見に行く予定があるのであれば、事前に読んでおくのも良いかもしれませんね。
【ソフトカバー版】
闇株新聞 the book
プロが読む話題の金融ブログ ”闇株新聞”が本になった
とあったので、金融にあまり詳しくない私ですが、購入し読んでみました。
【kindle版】
目次
はじめに
第1章:為替をどう見るか?(米ドル)
第2章:為替をどう見るか?(ユーロ)
第3章:為替をどう見るか?(人民元)
第4章:徹底的に日本国債の話をしよう!(国債)
第5章:日本株はこれからどうなるのか?(株)
付録:闇株新聞 あらゆる世界に「闇」はある(社会・国際・歴史)
闇株新聞とは?
『闇株新聞』とは2010年10月にスタートしたブログ・メディアです。政治、経済、事件、社会問題、歴史、スポーツ....etc.既存のメディアを通じて得られる情報は本当に正しいのか、それを発信している側の意図や目論見は何なのかを、日々、独自の見解で読み解きお伝えしています。(中略)物事には必ず裏があり、そこにかかわる人間の思惑が絡んでいるのです。 - はじめに p.2 より
ブログメディアということで、当のブログは以下になるようです。
闇株新聞:http://yamikabu.blog136.fc2.com/
読後の感想
本を一通り読み終えた後、ブログ記事もいくつか読んでみましたが、過去の報道やニュースについて歴史的背景などと絡めながら説明しているので、「なるほど...」となりながら読むことができました。勉強になりました。
例えば、米国金融危機が起こった際の救済劇について語られているのですが、“FNMA(連邦住宅抵当公庫)とFHLMC(連邦住宅金融抵当公庫)という民間の金融機関の債務に対しては、法的には根拠がないにも拘らず「暗黙の政府保証」が付けられており、両社の発行する社債は米国国債とほぼ同じ利回りで流通していた”という話が紹介されていました。
また、「暗黙の政府保証」からか、格付けも甘かったことや、商業銀行と比べて低い自己資本比率しか求められていなかったことで巨大なレバレッジ取引が可能な環境にあった結果、2008年には全米の住宅用モーゲージの約半分(約4兆4000億ドル)を保有/保証していたとのことです。その結果は言わずもがな、ですかね。
リーマンブラザーズやメリルリンチなどの民間企業に救済されたケースは有名でしたが、このケースは知らなかったので知識を広げることができました。
あとは、物事に対する「闇」的な視点ですね。
この本の一番特徴となる部分なので紹介したいのは山々ですが、なにしろ全体を通して一般論とは少し違った見方が紹介されているので、「これ!」と紹介するのはやめときますね。(選択肢が多いと選べないってアレです。)
あとは、国債の章に、日本国債について「闇株新聞がヘッジファンドならこうやって売り崩す」というのを解説しているので、そこは注意深く読んで戴きたいですね。
一点気になるといえば、やはり金融の分野ですので、予備知識が必要になるというか、興味が分かれるというか...少なくとも万人受けするトピックではないのでそこは興味がある方はどうぞ。
【ソフトカバー版】
「プロが読む話題の金融ブログ」ということで、その道のプロの方々が満足する内容なのは言うまでもなく、経済や金融の分野に興味のある方にも一読の価値があると思います。全体を通じて、大変お勉強になるというんですかね、経済や金融に関する知識が手に入るだけでなく、ニュースや報道に対する見方を広げることができる一冊だと感じました。







